専門家が陥りやすい?!遺言書の意外な落とし穴
仕事上、様々な方の相続に関するご相談を受けますが近年はドラマなどの影響もあり相続争い(いわゆる争続)に関する関心が高いようです。
争続にしないための方法として一番最初に思い浮かぶものは
やはり「しっかりと遺言書を残しておく」ということでしょうか。
近年は遺言関連の書籍などもあり、ご自身で書くこともそこまで難しく無くなりましたが、
やはり、いざ相続が開始してからその遺言書が使えないという事がないように
弁護士、司法書士、行政書士など専門士業に遺言書の作成支援を依頼することが安心です。
しかし、そんな専門家でも陥りやすい落とし穴があります。
それは・・・『遺言書の付言事項』です。
遺言書は「□□に○○を相続させる」のような法的な効力を持つ部分が主要な内容になりますが、付言事項といって「家族みんなで仲良く暮らしていってほしい」とか「~という考えでこの遺言書を書いた」とか遺言者の気持ちや考えなど、法的な効力を持たない事項も書くことができます。
法的な効力を持たないと言っても、それを読んだ相続人の感情に訴えるものとして
専門家が遺言書の文案を作成する際には、遺言者の思いを書いてもらうことが多いです。
そんな付言事項がなぜ問題になるのかというと、、、
「付言事項で思いを書く」=「法律的には強制できないので感情にうったえる」というパターンが多いからなんです。
良くある例だと
「次男の○○には生前十分な支援をしたので、遺留分減殺請求の行使などはせずに・・・」のような文言があります。
ですが、よく考えてみてください。
「次男は遺留分減殺請求をしないでほしい」って書いてあるということは、逆に考えると「この遺言書の内容は次男に不利な内容だ」ということを公表しているものですよね。
具体的にどこで問題になる可能性があるかというと、銀行での口座の解約手続きの際に問題になることがあります。
(表向きには教えてくれませんが)銀行には内部マニュアルが存在し、手続きの中で遺留分減殺請求の可能性があるとものについてはたとえ遺言書があったとしても手続きが進められないことになっているようです。
(遺留分を放棄しているとか、時効になっているとかを明らかにすることを求められる)
付言事項は法的に効力を持たない箇所なので、遺言者の思いをなんでも書くことはできますが、後々のことを考えると、なにを書いてもいいということではないということですね。